(当頁には広告があります)
誰でも自己破産というのは、借金がチャラになる事だと言うことは知っていると思います。
ですが、自己破産での借金の免除は必ず認められるわけではありません。
また、自己破産を考えている方は、「お金が無いのに自己破産の費用がいくら掛かるのだろう」と不安に思っているはずです。
このページでは、自己破産に関する様々なことについて分かり易く解説をしています。
ですが、自己破産での借金の免除は必ず認められるわけではありません。
また、自己破産を考えている方は、「お金が無いのに自己破産の費用がいくら掛かるのだろう」と不安に思っているはずです。
このページでは、自己破産に関する様々なことについて分かり易く解説をしています。
このページを読むことで分かること
- 自己破産とは何かについて理解できます。
- 自己破産のメリットとデメリットについて知ることができます。
- 自己破産手続きをするには幾らお金が掛かるのかが分かります。
- 自己破産をすると手続きがどのように進むのかについて理解できます。
このページの目次
自己破産とは
自己破産とは、申立者の居住地を管轄する地方裁判所に借金免除を申し立てて、裁判官の判断を仰ぐ方法です。
裁判なので裁判官による確定判決が出て、その判決には強制力があります。
つまり、自己破産の裁判で借金の返済免除「免責」が認められれば、借入時の契約によって借金返済を義務づけられていた債務者という法的状態から解放されることになります。
要は、自己破産をすれば、借金をゼロに出来る可能性があるということです。
自己破産を利用できる人の条件
借金を抱えていれば、誰でも自己破産ができる訳ではありません。例えば、財産である総資産が1,000万円あり、借金総額が500万円の場合だと、自己破産は認められません。
しかし、財産である総資産が100万円で、借金総額が300万円の場合だと、自己破産が認められる可能性は高いです。
ですから、ただ単に借金の金額だけで、自己破産の可否が決められる訳ではありません。
自己破産の申立てを行い、その後に裁判所によって自己破産手続きが開始されるための条件は、次の通りです。
- 支払い不能な方(破産法15条)
自己破産の申立人が、総資産より借金総額の方が多いという債務超過になっていて、経済的に破綻している。
そして、債権者への支払いが停止している状況の場合には、裁判所によって自己破産をするのにふさわしいと判断されて、自己破産手続きが開始されます。
自己破産の方法の種類
自己破産の方法は、1つしかないと一般の人は考えていると思いますが、実は自己破産の方法は厳密にいえば3つの方法があります。自己破産の3つの方法は、それぞれ「同時廃止」、「少額管財事件」、「管財事件」と呼ばれます。
破産法では、原則として自己破産手続きは「管財事件」で進めることになっていますが、その例外として「同時廃止」についても規定されています。
同時廃止は、破産法216条1項で「換価処分される財産では破産手続きの費用が不足していると認められる場合に行う」と決められています。
管財事件の場合、破産管財人が裁判所で選出されます。
破産管財人は、自己破産の申立てをした債務者の財産を管理するために選ばれます。
破産管財人に支払う費用(人件費)は、最低でも20万円ぐらい掛かります。
自己破産の申立人に換価できる財産があっても、その財産を換価しても破産管財人に支払うお金すら用意できない場合には、処分する財産はないと判断されて破産管財人の選出を行いません。
そして、管財事件ではなく同時廃止として手続きが行われます(破産法216条1項)。
また、「少額管財事件」は法律では規定がなく、裁判所の運用で行われている手続きです。
管財事件だと、裁判手続きに掛かる費用が高額なために自己破産の申立人に大きな費用負担が掛かります。
その欠点を補い、裁判手続き費用を抑えた管財事件手続きが「少額管財事件」です。
自己破産の申立て後に、「同時廃止」、「少額管財事件」、「管財事件」の中からどの方法を選ぶかは裁判所で決定をします。
少額管財事件は、各地方裁判所の判断で運用をしているので、地方裁判所によっては実施していないこともあります。
ここでは、「同時廃止」、「少額管財事件」、「管財事件」の自己破産方法について、詳しく説明をしていきます。
同時廃止
同時廃止が選ばれるか否かの判断は、自己破産の申立てをした裁判所で判断をされます。ですが、一般的には33万円以上の現金や20万円以上の価値のある物品・資産がない場合には、同時廃止が選ばれます。
自己破産の申立て後に、裁判所で同時廃止の手続きが選ばれた場合には、破産手続き開始決定と共に免責許可の決定も下されます。
免責許可の決定とは、借金を返済する責務を免除するという決定で、この決定を受けることで今まで抱えていた借金は原則ゼロとなります。
同時廃止の場合は、裁判所に納める予納金は不要です。
予納金とは、裁判手続きを進める為に前もって納める事務手続き費用の事です。
つまり、裁判所で同時廃止が選ばれた場合は、自己破産費用をあまり掛けずに借金をゼロにすることができます。
同時廃止に掛かる期間は、自己破産の申立てから3~4カ月ぐらいです。
少額管財事件
少額管財事件は、管財事件だと申立者の費用負担が大きいので、費用負担を軽減する為に、各地方裁判所の判断で運用されている手続きです。法律で定められている制度ではないので、地方裁判所によっては実施されていないこともあります。
また、東京地裁では「少額管財事件」という名称を使っていますが、地裁によって名称はまちまちです。
少額管財のことを、一般管財、簡易管財、e管財、少額予納管財、小規模管財という名称で呼んでいる地裁もあります。
少額管財事件および同等の手続きを実施している地方裁判所には、札幌地裁、仙台地裁、東京地裁、さいたま地裁、横浜地裁、千葉地裁、静岡地裁、名古屋地裁、京都地裁、大阪地裁、神戸地裁、広島地裁、高松地裁、福岡地裁、大分地裁などがあります。
少額管財事件では、申立人の所有財産を調べるために裁判所で破産管財人が選出されます。
このため、破産管財人の人件費として、裁判所に予納金を収める必要があります。
少額管財事件で裁判所に支払う予納金は通常の管財事件より少額で済み、20万円程度です。
ちなみに予納金は、自己破産の手続きが完了した時点で余った場合には、申立人に返金されます。
なお、少額管財事件に掛かる期間は、自己破産の申立てから3~6カ月程度で、同時廃止より手続きが完了するまで少しだけ時間が掛かります。
管財事件
前述したように、3つある自己破産の方法からどの方法を選ぶかは地方裁判所の判断によります。地方裁判所が管財事件を選ぶには基準があり、次のいずれかに該当する場合には、自己破産の方法として管財事件が選ばれます。
- 債権者に配当可能な高額財産がある。
- 借金理由が免責不許可事由に該当している可能性がある。
- 申立人が事業経営者である。
各項目について、補足説明をしていきます。
債権者に配当可能な高額財産がある
申立人が、33万円以上の現金や20万円以上の価値のある物品・資産を所有していて、財産を換金して各債権者に分配できる場合です。この場合は、自己破産方法として管財事件が選ばれます。
借金理由が免責不許可事由に該当している可能性がある
免責不許可事由とは、破産法252条1項各号で定められている自己破産による借金の免除を認めない借金理由のことです。借金を作った理由が免責不許可事由に該当する可能性がある場合には、管財事件として扱われます。
申立人が事業経営者である
自己破産の申立人が中小企業経営者や自営業者だと、借金や財産の状況は複雑となっている場合が多いです。その様な場合は、しっかりと申立人の財産と借金の状況を調べなければならないので、財産を管理する破産管財人を選出する管財事件として扱います。
裁判所に納める予納金は、管財事件の場合は借金の金額によって異なっており、50万円~250万円でとても高額です。
なお、管財事件に掛かる期間は、自己破産の申立てから3カ月~1年程度で、時間が掛かる場合が多いです。
自己破産をするメリット
自己破産は、借金の整理をする為に行うものですが、次のような様々なメリットがあります。
- 借金返済の免責を受けることができる。
- 無収入でもできる。
- 同居している家族の財産は失わない。
- 強制執行の手続きを止めることができる。
上述した、各内容について詳しく説明をしていきます。
借金返済の免責を受けることができる
裁判所で「免責」の決定がでれば、借りたお金を返さなくてもいい訳ですから、このメリットは絶大です。多額の借金があると債権者から返済の催促をされるので、精神的にかなりのプレッシャーとなります。
その借金が無くなるとなれば、返済のプレッシャーから解放されることになり、気持ち的にかなり楽になるはずです。
無収入でもできる
失職した無職の方や、経営が破綻した自営業者で収入が全くない方でも自己破産の申立てをすることができます。自己破産は、手続き開始以降は借金を返済をする必要がなく、その後に借金返済の免責が決まれば、借金の返済義務もなくなります。
同居している家族の財産は失わない
自己破産をしてしまうと、自分の財産だけでなく家族の財産も失ってしまうのではと危惧されている方もおられると思います。ですが、自己破産をした場合に失うのは申立てをした人の財産のみです。
ですから、例えば住んでいる家が親や配偶者の名義であれば、家を失うことはありません。
強制執行の手続きを止めることができる
借金返済が長期に及んで延滞していると、債権者は債権(貸したお金)を回収する為に強制執行によって債務者の財産の差押え手続きを行います。
差押え手続きが行われる際は、事前に裁判所から債務者のもとに予告通知が郵送で送られてきます。
この予告通知を受けた際に、強制執行の手続きを止めるための対抗手段として自己破産を使うことができます。
ただし、同時廃止と管財事件では、自己破産を行った場合の強制執行に対する効果は異なります。
強制執行の対抗手段として、債務者が自己破産の申立てを行い、管財事件となった場合は強制執行は「失効」となるので、差押えは行われません。
一方、同時廃止の場合は強制執行は「中止」になります。
既に給料の差押えが行われている場合は、差押えは継続して行われ、差押えされた給料は留保されます。
同時廃止の場合は、自己破産の手続きが完了した時に強制執行は「失効」となり、給料は全額受け取れる様になり、差押えで留保されていた給料は全額が債務者に返金されることになります。
自己破産をするデメリット
借金が免除されるという絶大なメリットに比べれば些細な事ですが、自己破産にはデメリットもあります。
多額の借金を負っていると自己破産のメリットばかりに目が行きがちですが、デメリットに関してもしっかりと把握をする様にしましょう。
自己破産のデメリットには、次の項目があります。
- 自宅などの高額資産は競売に掛けられる。
- 10年間ぐらいは、金融機関で借金をすることができない。
- 税金や国民健康保険などの支払いは免除されない。
- 官報に破産者として氏名や住所が掲載される。
- 借金の理由が免責不許可事由の場合は、借金が免除されないことがある。
- 自己破産手続きの間、就くことができない仕事がある。
- 一部の債権者だけを対象にした借金整理ができない。
- 役所の破産者名簿に破産者として記載されることがある。
- 自営業などで商売をしている場合、信用を失う。
- 破産手続き中は住居の移転ができない(管財事件のみ)。
- 破産手続き中は、申立人宛ての郵便物は中身を確認される(管財事件のみ)。
其々の項目について、分かりやすい様に補足説明をしていきます。
自宅などの高額資産は競売に掛けられる
自己破産の申立人が所有する持ち家や高額な自動車などは、破産管財人の管理のもと、売却されて債権者への借金返済に充てられます。そのため、以下の「自由財産」を除いた全ての財産を失うことになります。
- 20万円以下の預貯金
- 20万円以下の価値の物品(年式の古いマイカーなど)
- 99万円以下の現金(破産法34条3項1号)
- 差押え禁止財産である家財道具などの生活必需品など(破産法34条3項2号)
- 破産開始決定の後に得た給料などの「新得財産」(破産法34条1項)
自己破産をする前と変わらずに銀行預金通帳も持てるので、キャッシュカードの利用は自己破産をした後も可能です。
なお、自由財産に該当する20万円以下の価値の物品や生活必需品でも、ローンを返済していた場合は、ローン会社に対象物を回収される可能性があります。
10年間ぐらいは、金融機関で借金をすることができない
自己破産をすると、金融事故を起こしたという情報が信用情報機関に記録されます。信用情報機関は、銀行や消費者金融などが顧客から新規借り入れの申し込みを受けた時に、融資審査で申込者個人の他社借り入れ状況などを確認する為に用いられる機関です。
信用情報機関に申込者の個人データを照会した結果、金融事故を起こしていることが判明した場合は、当然のことながら融資審査に落ちることになります。
自己破産の場合、信用情報機関に記録された情報は約10年間保管をされた後に、自動で消去されます。
つまり、自己破産をすると、いわゆる金融機関のブラックリスト入りをするので、10年ほどの間は金融機関からお金を借りれなくなります。
なお、ブラックリスト入りしている間は、信販会社が発行をしているクレジットカードも作成できません。
税金や国民健康保険などの支払いは免除されない
実は、自己破産をしても一部の借金は免責されないことがあります。その免責されない借金の事を「非免責債権」と言います。
非免責債権には、未納の税金や国民健康保険、損害賠償の賠償金、法的な罰金などがあります。
ですから、もし非免責債権に該当する借金があるのなら、自己破産の申立てをする前に最優先で返済を終えておいた方が良いです。
官報に破産者として氏名や住所が掲載される
自己破産をすると近所の人や職場の人に知られてしまうのではと心配する人もいると思います。確かに自己破産をすると、官報という国が発行している新聞の様なものに名前と住所が掲載をされてしまいます。
ですが、一般の人は官報を見ることはないので、自己破産をしたとしても周囲の人にバレることはまずありません。
借金の理由が免責不許可事由の場合は、借金が免除されないことがある
自己破産は、裁判所に申し立てさえすれば、必ず借金の免責が認められるというものではありません。自己破産するに至った借金理由がある特定の理由に該当する場合は、借金の免責が認められないこともあります。
この借金の免責が認められない借金理由の事を免責不許可事由といい、破産法252条1項各号で定められています。
破産法252条1項各号の免責不許可事由の内容は、次の通りです。
- (1号)債権者に害を与える為に、財産を隠したり壊したりした。
- (2号)破産手続の開始を遅延させるために、不利な条件で借金を負ったり、後払いで商品を購入して不利な条件で売却した。
- (3号)一部の債権者にだけ特別の利益を与えたり、他の債権者に害を与える為に、担保の設定もしくは借金返済を行った。
- (4号)浪費や賭博(ギャンブル)といった射幸行為によって、財産を大幅に減らしたり、多額の借金を負った。
- (5号)自己破産となることを知りつつ、破産申立てから1年前以降に、騙して後払いによって財産を取得した。
- (6号)財産や業務に関わる書類などを隠したり、誤魔化す為に変更を加えた。
- (7号)ウソの債権者名簿を作成して、裁判所に提出した。
- (8号)裁判所の調査で説明を拒んだり、ウソの説明を行った。
- (9号)不正な方法によって破産管財人などの職務の妨害をした。
- (10号)過去7年以内に自己破産などによって、借金の返済義務が免除された。
- (11号)申立人が破産法で定められている協力の義務に違反をした。
上記の内容で、分かりづらい(3号)と(10号)に関して、補足説明を行います。
(3号)の補足説明
3号に該当する具体例は、例えば身内や知り合いから借りたお金を優先して返済をした場合が該当します。一部の債権者だけを優遇して借金返済をした場合は、免責不許可事由となります。
(10号)の補足説明
過去7年以内に、次の事柄に該当していた場合は、原則として自己破産は認められません。- 自己破産の免責
- 給与所得者再生の再生計画の認可決定
- ハードシップ免責の許可決定
給与所得者再生とは債務整理方法の1つで、裁判所で再生計画が認められると、借金を大幅に圧縮することができます。
また、ハードシップ免責とは債務整理方法の1つである個人再生を行った後に、計画通りに借金返済ができなくなった時に採ることができる手続きです。
ハードシップ免責では、借金の返済額の合計が借金全体の3/4以上行っており、再生計画の変更が困難な場合に、裁判所の判断で残りの借金の返済義務を免除します。
つまり、過去7年以内に裁判所を使って大幅な借金の圧縮または免除を受けた人は、原則として自己破産を認めないという事です。
何度も多額の借金を繰り返し作り、裁判所を使って債務整理をする人は、反省をしていないし、債権者は借金を踏み倒されるので経済的な面でも悪影響を与えるため、禁止をしているのです。
なお、借金を作った理由が免責不許可事由に当てはまる場合でも、裁判官は申立人の諸事情を考慮して、「裁量免除」により借金の返済義務を免除することもあります。
自己破産手続きの間、就くことができない仕事がある
自己破産の申立人が会社員の場合、自己破産をしたことが勤務先の会社にバレることはまずありませんが、もしバレてしまったとしても、自己破産をしたことを理由として会社をクビになることはありません。もし、会社をクビになった場合は不当解雇となり、労働基準法違反になります。
自己破産をしても会社勤めをしている方は会社をクビになることはありませんが、自己破産の手続きが始まった時から免責許可の決定がでて「復権」できるまでの間、特定の仕事に就くことはできません。
これは、破産法には職業を制限する規定はありませんが、各職業に関する法律や民法で自己破産手続き中の職業などが制限をされているからです。
具体的には、自己破産手続き中は次の様な職業に就くことができなくなります。
- 弁護士や司法書士、税理士、公認会計士、宅地建物取引主任者などの士業
- 商工会議所や信用金庫などの団体企業の役員
- 貸金業者や質屋、保険外交員、旅行業者、警備員、建設業などの特定の職業
- 公証人などの公務員
- 教育委員会や公正取引委員会、都道府県公安委員会などの委員長や委員
- 後見人、保佐人や補助人(民法上の制限)
一部の債権者だけを対象にした借金整理ができない
自己破産は、全ての債権者を対象として借金の整理が行われます。このため、借金に保証人を設定している場合は、自己破産を行うと保証人が借金の取り立てを受けることになります。
ですから、借金に保証人を設定している場合は、自己破産をする前に良く相談をしてトラブルにならない様にしておく必要があります。
なお、債務整理の方法でも任意整理と特定調停は、債権者を選択して借金整理をすることができます。
ですから、保証人を付けた借金がある場合は、保証人に迷惑を掛けないために自己破産ではなく任意整理もしくは特定調停で借金を整理するという方法もあります。
役所の破産者名簿に破産者として記載されることがある
自己破産の申立てをした結果、免責が認められなかった場合は、本籍地のある役所の破産者名簿に破産者として記載されます。破産者名簿は一般の人には公開されていない書類なので、破産者名簿に記載されているからと言って実害はありません。
もし、不具合があるとすれば、就職や金融関係の口座開設などで身分証明書の提出を求められた場合です。
破産者名簿に名前が記載されている場合、役所で身分証明書を発行してもらうと、証明書には破産者と記載されてしまいます。
つまり、身分証明書によって破産者だという事が身分証明書の提出先にバレてしまうという事です。
自営業などで商売をしている場合、信用を失う
自己破産をすると、当然のことながら債権者の借金を踏み倒すことになります。借金を踏み倒すと社会的信用を失うので、仕事に悪影響がでたり、仕事が継続できなくなり廃業となる可能性があります。
破産手続き中は住居の移転ができない(管財事件のみ)
管財事件では、申立人の財産は破産管財人が管理をすることになります。住居の移転をすると財産関係が不明瞭となるため、原則として自己破産中の申立人の引越しは禁止されています。
なお、裁判所から許可を受けることができれば、申立人は自己破産中でも引越しをすることができます。
破産手続き中は、申立人宛ての郵便物は中身を確認される(管財事件のみ)
管財事件では、自己破産を行っている間は、申立人宛ての郵便物は破産管財人に転送されて中身をチェックされます。申立人による財産隠しや財産処分、申告漏れの財産がないかを監視するために行われます。
なお、宅配便は監視の対象外となっているので、届いた荷物は申立人が直接、受け取ることができます。
自己破産に掛かる費用
自己破産を行うために必要な費用は、裁判所に支払う費用と弁護士への報酬費用の2種類となります。
裁判所に支払う費用には、次の項目があります。
裁判所費用項目 | 金額 |
---|---|
印紙代 | 1500円 |
予納金 | 同時廃止:1万円程度 |
少額管財事件:20万円程度 | |
管財事件:下表参照 | |
切手代 | 3千円~1万5千円程度(債権者数で変動) |
官報広告費 | 1万円程度 |
管財事件の予納金は、借金総額によって金額が異なり、次の様になります。
借金総額 | 管財事件の予納金 |
---|---|
5千万円未満 | 50万円 |
1億円未満 | 80万円 |
5億円未満 | 150万円 |
10億円未満 | 250万円 |
50億円未満 | 400万円 |
100億円未満 | 500万円 |
100億円以上 | 700万円 |
申立人(債務者)に約20万円を超える様な財産がない場合は、裁判所の判断で自己破産の方法として同時廃止が選ばれます。
同時廃止は、自己破産者の約90%に採られる自己破産方法なので、ほとんどの方は自己破産の申立てをすると同時廃止の手続きが行われることになります。
同時廃止は、自己破産の申立てをした債務者の財産を管理する必要が無いので、裁判所に納める金額は低額で済みます。
債務者に約20万円以上の財産がある場合は、破産管財人が選任されて少額管財事件として取り扱われる場合があります。
少額管財事件となった場合は、予納金は20万円ほど必要になります。
少額管財事件を運用していない地方裁判所では、財産がある場合は管財事件として扱われます。
管財事件の場合は、予納金は借金総額によって50万円~700万円もかかり、裁判所に納めなければならない費用は高額となります。
上述しましたが、予納金は裁判手続きを進めるために使われる費用です。
自己破産手続きが完了した時に余った予納金は納めた人に返金されます。
弁護士に支払う費用には、次の項目があります。
弁護士費用 | 金額 |
---|---|
相談料 | 無料の場合が多い |
着手金 | 20~50万円 |
成功報酬 | 最大30万円 |
弁護士との借金相談は、法律事務所で受けることになりますが、最近の法律事務所では初回の30分間に限って借金相談は無料で実施している法律事務所が多いです。
無料相談の時間が30分だと短いと思う方がいるかもしれませんが、相談前に借金に関係する資料を整理して、それから相談に臨めば、十分に適切な借金問題を解決するためのアドバイスを貰うことができます。
時間に余裕があるのなら、複数の法律事務所で無料の借金相談を受けてみると良いです。
自己破産の手続きを依頼すると長いお付き合いになるので、信頼が出来て、かつ相性の良い弁護士に自己破産手続きを依頼するべきです。
なお、弁護士ではなく、司法書士に自己破産の手続きを依頼するという方法もあります。
司法書士の方が、弁護士より支払う費用が少なくて済みますが、司法書士は地方裁判所では法廷代理人になれません。
そのため、司法書士に自己破産を依頼した場合は、自分でやらなければならないことが大幅に増えます。
ですから、自己破産を考えているのなら、司法書士より弁護士に依頼をした方が手間が掛からなくて良いです。
多額の借金があって自己破産を考えている方は、手元にまったくお金が無く、弁護士費用も裁判所費用も出せないという方がほとんどだと思います。
ですがその様な方でも、法テラスの民事法律扶助制度を利用するなど、費用面はなんとかなるので、まずは弁護士の無料相談を受けて頂きたいです。
自己破産の費用のことは考えずにいったん置いといて、弁護士と借金相談をすることを優先させてください。
弁護士と借金相談をすることで、借金問題を解決するための一歩を踏み出すことができます。
自己破産手続きの流れ
借金問題を自己破産で解決する場合の手続きの流れは、次の様になります。
弁護士と借金相談をする。
電話相談だと詳細な情報を弁護士が把握することができないので、借金相談は直接あって話をする面談形式で行う場合が多いです。
電話相談だと詳細な情報を弁護士が把握することができないので、借金相談は直接あって話をする面談形式で行う場合が多いです。
借金相談の結果、自己破産で債務整理を行うアドバイスを受ける。
当然のことですが、債務整理方法として自己破産以外の方法を提案されることもあります。
どの債務整理方法が自分に合っているのかは借金を負っている債務者だけで判断するのは難しいので、適切な債務整理方法を選択するためには弁護士などの専門家と相談をする必要があります。
当然のことですが、債務整理方法として自己破産以外の方法を提案されることもあります。
どの債務整理方法が自分に合っているのかは借金を負っている債務者だけで判断するのは難しいので、適切な債務整理方法を選択するためには弁護士などの専門家と相談をする必要があります。
弁護士は、各債権者に介入通知を送付する。
弁護士は、相談者から自己破産の依頼を受けたら、すぐに各債権者に介入通知(受任通知)を送ります。
介入通知を送ることで、貸金業法21条1項9号(弁護士から書面で委託の通知を受けた際の取立て行為の規制)により、債権者が債務者に対して取り立て行為を行うことができなくなります。そのため、債権者からの督促がストップします。
弁護士は、相談者から自己破産の依頼を受けたら、すぐに各債権者に介入通知(受任通知)を送ります。
介入通知を送ることで、貸金業法21条1項9号(弁護士から書面で委託の通知を受けた際の取立て行為の規制)により、債権者が債務者に対して取り立て行為を行うことができなくなります。そのため、債権者からの督促がストップします。
債権を調査するために、弁護士は各債権者に取引の開示請求を行う。
引き直し計算を行うことで借金総額を確定する。
利息制限法の法定上限金利を超えた貸付金利(いわゆるグレーゾーン金利)で返済をしていた場合は、金銭の貸主(債権者)に払い過ぎた利息金があります。この払い過ぎた利息金を借金元本と相殺することを「引き直し計算」と言います。
利息制限法の法定上限金利を超えた貸付金利(いわゆるグレーゾーン金利)で返済をしていた場合は、金銭の貸主(債権者)に払い過ぎた利息金があります。この払い過ぎた利息金を借金元本と相殺することを「引き直し計算」と言います。
依頼人は弁護士に自己破産申立ての作成に必要となる書類を渡す。
自己破産の手続きを依頼した方は、資産や収入などの自己破産の申立て書類を作成するのに必要な書類を弁護士に渡します。
自己破産の手続きを依頼した方は、資産や収入などの自己破産の申立て書類を作成するのに必要な書類を弁護士に渡します。
弁護士は依頼人の代わりに自己破産申立書を作成する。
弁護士に自己破産を依頼した場合は、裁判所に提出するための自己破産申立ての書類は弁護士が作成します。
弁護士に自己破産を依頼した場合は、裁判所に提出するための自己破産申立ての書類は弁護士が作成します。
管轄の地方裁判所に破産申立てを行う。
弁護士は債務者の代理人となって、債務者の居住地を管轄している地方裁判所に破産申立てを行います。なお、自己破産手続きが始まると、借金の返済方法の判断を裁判所に委ねることになるので、今まで行っていた債権者に対する借金返済を止めることができます。
弁護士は債務者の代理人となって、債務者の居住地を管轄している地方裁判所に破産申立てを行います。なお、自己破産手続きが始まると、借金の返済方法の判断を裁判所に委ねることになるので、今まで行っていた債権者に対する借金返済を止めることができます。
代理人である弁護士が裁判官と面接をする。
破産申立ての受付を完了した後すぐに、裁判官との面接があります。借金をするに至った原因や返済不能となった状況などを聞かれるので、弁護士はその質問に答えます。
破産申立ての受付を完了した後すぐに、裁判官との面接があります。借金をするに至った原因や返済不能となった状況などを聞かれるので、弁護士はその質問に答えます。
破産手続き開始が決定される。
破産申立てを行ったその日の内に、破産手続き開始決定となります。また、同時廃止の場合は、同日に同時廃止の決定が決まります。
破産申立てを行ったその日の内に、破産手続き開始決定となります。また、同時廃止の場合は、同日に同時廃止の決定が決まります。
(管財事件の場合)裁判所で破産管財人を選出する。
破産管財人が申立人の財産管理を行い、申立人の財産を換金して、各債権者に分配します。
破産管財人が申立人の財産管理を行い、申立人の財産を換金して、各債権者に分配します。
(管財事件の場合)破産管財人から審尋を受ける。
破産申立てから1~2週間後に、審尋を受けるために弁護士と申立人(債務者)が破産管財人の所へ出向きます。審尋では、次の様な事を聞かれます。
破産申立てから1~2週間後に、審尋を受けるために弁護士と申立人(債務者)が破産管財人の所へ出向きます。審尋では、次の様な事を聞かれます。
- 借金の詳細や借金の原因、借り入れ期間
- 家計の収入と支出・所有資産の状況
- 免責不許可事由に該当する場合には、免責の不許可に関する説明
(管財事件の場合)債権者集会が行われます。
破産申立てから3~4カ月後に、債権者集会に出るために弁護士と申立人は裁判所へ出向きます。
債権者集会では、破産管財人が申立人の家計の収支と財産について報告をして、その後、どの債権者に幾ら配当ができるかの計算結果の報告を行います。免責許可に異議のある債権者いなくて、かつ処分すべき財産がある場合は破産管財人によって申立人の財産は換価されて、債権者に分配されます。
その後、免責審尋が行われて、借金をゼロにするかの意見申述を実施します。なお、自己破産をした債務者が個人で、かつ債権者が金融機関の場合は、金融機関は債権者集会に出席しないことも多いです。
破産申立てから3~4カ月後に、債権者集会に出るために弁護士と申立人は裁判所へ出向きます。
債権者集会では、破産管財人が申立人の家計の収支と財産について報告をして、その後、どの債権者に幾ら配当ができるかの計算結果の報告を行います。免責許可に異議のある債権者いなくて、かつ処分すべき財産がある場合は破産管財人によって申立人の財産は換価されて、債権者に分配されます。
その後、免責審尋が行われて、借金をゼロにするかの意見申述を実施します。なお、自己破産をした債務者が個人で、かつ債権者が金融機関の場合は、金融機関は債権者集会に出席しないことも多いです。
(同時廃止の場合)免責審尋が行われる。
弁護士と依頼人は裁判所に出向いて、裁判官から審尋を受けます。免責不許可事由(破産法252条1項各号)に該当する場合は、自己破産による借金の免除は認められません。
但し、借金を作った原因が免責不許可事由にあたる場合でも、裁判官の裁量判断で免責を認めて貰える場合もあります(裁量免責)。
弁護士と依頼人は裁判所に出向いて、裁判官から審尋を受けます。免責不許可事由(破産法252条1項各号)に該当する場合は、自己破産による借金の免除は認められません。
但し、借金を作った原因が免責不許可事由にあたる場合でも、裁判官の裁量判断で免責を認めて貰える場合もあります(裁量免責)。
裁判所で免責許可の決定が出されます。
同時廃止の場合は免責審尋、管財事件の場合は債権者集会から約1週間後に、免責許可の決定が出ます。免責許可の決定により、申立人の借金をゼロにすることが決まります。
同時廃止の場合は免責審尋、管財事件の場合は債権者集会から約1週間後に、免責許可の決定が出ます。免責許可の決定により、申立人の借金をゼロにすることが決まります。
官報へ公告が行われる
免責許可の決定から約2週間後に、申立人が自己破産をしたことが官報に掲載されます。
官報公告の翌日から公告効力が発生して、この日を起算日として2週間、即時抗告期間となります。債権者などは、免責許可の決定に不服がある場合は、即時抗告期間中に異議申立てとして即時抗告をすることができます。
免責許可の決定から約2週間後に、申立人が自己破産をしたことが官報に掲載されます。
官報公告の翌日から公告効力が発生して、この日を起算日として2週間、即時抗告期間となります。債権者などは、免責許可の決定に不服がある場合は、即時抗告期間中に異議申立てとして即時抗告をすることができます。
免責許可の決定が確定
即時抗告期間に債権者などから抗告が行われなかった場合、免責許可の決定が法的に確定します(免責許可の決定から約1か月後)。
申立人(債務者)の借金は、免責許可の決定が法的に確定することで、非免責債権を除いて全て無くなります。
即時抗告期間に債権者などから抗告が行われなかった場合、免責許可の決定が法的に確定します(免責許可の決定から約1か月後)。
申立人(債務者)の借金は、免責許可の決定が法的に確定することで、非免責債権を除いて全て無くなります。
まとめ
自己破産は、返済不能な巨額な借金を抱えた場合の究極かつ最終手段といえる借金問題の解決方法です。
自己破産は、借金で首が回らなくなってしまった人を救うための社会的なセーフティネットなので、多額の借金を抱えて困窮している方は積極的に活用をするべきです。
また、自己破産を利用する方は、自己破産を行うことで「借金地獄から脱出できて助かった」と思うだけでなく、再び多額の借金を抱えないために借金を作った原因を究明して、再発防止に努める必要もあります。
自己破産をすると当分の間は、金融機関から借り入れができなくなるので、その間は反省期間だと考えて、借金をしない生活になれる様にしましょう。
自己破産は、借金で首が回らなくなってしまった人を救うための社会的なセーフティネットなので、多額の借金を抱えて困窮している方は積極的に活用をするべきです。
また、自己破産を利用する方は、自己破産を行うことで「借金地獄から脱出できて助かった」と思うだけでなく、再び多額の借金を抱えないために借金を作った原因を究明して、再発防止に努める必要もあります。
自己破産をすると当分の間は、金融機関から借り入れができなくなるので、その間は反省期間だと考えて、借金をしない生活になれる様にしましょう。